みなさん、ごきげんよう。こんにちは。
先日、龍の御鏡台について報道していただきました。
ご質問やご意見も当宮にいただいております。
何年ごろにつくられたものなのか? 古いものなのか? というご質問をいただきますが、「わかりません…」というのが率直な答えです。
鏡台とは御神境を設置する台で、龍と獅子(虎)がおそらく、一対で製作され奉納されたものだと考えられます。
年代や奉納した方などの情報は鏡台に直接的な記載はありません。また、書類などの文字資料もなく(福岡大空襲の時に宝物を疎開させていたのですが、そちらで大方の資料は焼失)年代の特定のしようがないのです。
現在奉職している職員が足を踏み入れたことのない、存在すら知らなかった社殿の下の部屋で、解体中の職人さんが見つけ出しました。
出現した時の衝撃と遷宮で発見されたタイミングを考え、この鏡台はつくられた年代とか工芸的な価値などは度外視して、祭具として継承していこうと考えました。
そのために、修繕手直しして祭具として整えようと考え、遷宮の中でお神輿や獅子頭、猿田彦面などの祭具をきれいにしていただいた伝統工芸士の方に修復を依頼しました。
伝統工芸士の方によると、細工の技術の高さ、彩色など、とても良いものだそうです。年代特定は難しく、江戸時代に遡る可能性もあるそうです。
専門家が木肌に残っている塗料を調べて、製作当時の色、塗料や彩色技術を丹念に再現したとのこと。
想像以上にカラフルでポップな感じになりましたので、当初は驚きました。
日光東照宮などの建築を見ると色鮮やかな彩色が施されているように、かつて神社やお寺は極彩色だったところも多く、奉納当時の方々は、これをお神さまに相応しいとお考えになって奉納されたのでしょう。
その思いをつないでいくのに、匠の技を受け継がれた方々の現在の最高の技術で甦ったのが、この姿です。
元々どんな色だったのか、情報がない中、ご自身の分析と経験値で(多少アレンジもあったかもですが…)、奉納当時の思いを再現していただいたのだと私たちは、ありがたく受けています。
古いものをわざわざ新しくしなくても…という話もいただきましたが、神社は社殿や祭具を整えて、信仰やあり方を継承してきた側面もあります。
龍で思い出しましたが、当宮の中殿の御神体をおおさめしていた宮殿(くうでん)にも龍が舞っておりました。
こちらも塗り直して、また御神体をおさめております。この宮殿は、御扉の奥にありますのでご覧いただくことはできません。
当宮の神門には矢大臣と呼ばれる神将がおさめられています。こちらは「元禄十・・・」と年号がはっきりと読み取れます。三百年前に奉納された西町(現福岡市中央区今川付近)の方々の思いを受け、西町のかたが代々修繕して奉納をしていただいています。
このたび、報道していただいたことがきっかけとなり、興味を持っていただいて大変感謝しております。
龍の御鏡台は、1月13日の占いフェス(トンネルトウキョウ 11:00〜21:00 https://uranaifes.com/?p=13053)にて公開したあと、福岡に戻ってきた後、皆様にご覧いただけるようにいたします。ぜひ、その眼で見ていただきたいと思っています。
その後は、龍にまつわる場所に然るべき形でお祀りする予定です。ご用意できましたらお知らせいたしますので、お楽しみに。