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こんばんは。
鳥飼八幡宮宮司山内です。
鳥飼八幡宮の務めはは「現在」に対して力を持つものではなく「未来」を繋ぐものです。
鳥飼八幡宮にて「古着祭り」をやりたいと申し出があった時、即答で「やりましょう」と返事をしました。
なぜなら、鳥飼八幡宮がやるべき務めだと強く感じたからです。
日本での古着の文化は今から大きくさかのぼり室町時代まで戻ります。
この頃は素材調達の難しさや、手作業での作成に手間がかかるなどから衣服は現在の様な消耗品ではなく貴重品として扱われており、すでに古着屋が存在していました。
この時代は、衣服を長く着用する為に古着屋で購入した古着の端切れを使用し衣服を修繕したり、別の服へ仕立て直したりが多くの目的でしたが、質の良い着物や反物は高値で取引され幅広い人々に利用されていました。
日本での古着文化が発展してからというものほとんど形が変わることはありませんでしたが、ある時転機を迎えます。
それは世界大戦終戦後の物が不足した時代、アメリカから軍の払い下げ品を含む海外古着が、物資として輸入されたことから始まります。その時代の海外古着の多くは東京の上野や浅草などで売買され現在でもミリタリー古着の専門店など当時の名残を見ることができます。
当時の古着の扱いはファッションというよりもまず日用品としての側面が大きくまだ現在のように価値がつくことはありませんでした。
私が中学生や高校生だった80年代には、50’s・60’sの古着がファッションとしてブームを巻き起こしておりました。終戦後に大量に入ってきた古着に希少さや歴史的価値を見出されたことからそれまで価値のなかった古いジーンズにも100万円ほどの値がつけられるようになり海外古着は「ビンテージ」として人々に収集され、ファッションとしても着用されるようになりました。
古着を「ビンテージ」として価値を与え昇華させたのは我々日本人だったのです。
私も一生懸命にアルバイトして、憧れのビンテージジーンズを買ったことを昨日のことのように記憶しております。
古着は衣食住の”衣”を補うための物。現在でも古着を利用しての仕立てやリメイクなど古くからの文化の名残を残しつつ、古着の価値が見出され文化へと進化を遂げたのです。
現代は数回着たら買いなおすというファストファッションが主流となっています。私は希少価値があり流行りに左右されない古着は魅力いっぱいだと思うのです。
明日より開催される「鳥飼八幡宮古着祭り」では、逸品の古着をたくさんご用意し、皆様の来場をお待ちしております!