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旧神殿の歴史を感じさせるもの



みなさま、ごきげんよう♪

いかがお過ごしでしょうか。仮遷座も終わり、いよいよ遷宮事業も本格的になってまいりました。
ただいま、旧神殿の見学会を行なっております。
ご神体がおうつりになられたとはいえ、まだまだ厳かな雰囲気を漂わせております。

元のご本殿が建立されたのは文化14年(1817)と記録されています。その間、瓦葺きが銅板葺にかわり、基礎部の補強や幣殿、拝殿の増改築などもあり、徐々に現在の型式に整ってきました。
このたび、旧神殿の整理をする中で、いろいろな発見がありましたので、その一部をご紹介します。

 

【拝殿正面の松の飾彫】


拝殿正面の頭上には松の木の飾り彫が施されていました。あらためて確認すると、非常に精巧で美しい浮き彫りとなっています。かつて本殿の背後には松林が広がっていました(海岸線がそば)ので、それを意匠にしたのでしょう。下の雲のような浮き彫りもとても精密です。
このように装飾性が高くなってくるほど、年代が新しくなってきます。
江戸末〜明治ごろのものではないかと推察されます。

 

【元禄期の絵馬】


幣殿に掲げてあった大きな絵馬です。
元禄5年の奉納とありますから、330年前から掲出されていた絵馬です。奉納は福岡藩中老の矢野安太夫幸好(やの・やすだゆう・ゆきよし)さんです。
絵柄は「武松虎を打つ」ですので、水滸伝の一コマです。
作者は衣笠守昌(きぬがさ・もりまさ)さん。黒田藩御用絵師衣笠家の初代で、8代まで続いたところで明治維新を迎えました。幅は2メートル近い大作です。同じ絵柄のものが警固神社さんにも奉納されておりますが、享保9年(1724)ですのでこの絵馬より新しいですね。
これ以上退色しないように保存していきたいと考えております。

 

【棟札の数々】


現存している棟札は、古いものは江戸時代中期から。幕末、明治、大正、昭和、平成の記述があります。各々の詳細はまた読み解いてから改めます。江戸時代のものを見ると、歴代藩主がいわゆる施主として、当社の遷宮が行われてきたことが分かります。「普請奉行」という役職も見えますから、福岡藩の事業として行われてきた事業です。

幣殿、拝殿には、獅子頭や猿田彦面など、奉納品が飾られていましたが、現在修復作業に入っております。

年代がわかると、俄然楽しくなりますが、それは歴史好きだからでしょうか?
当社の場合は、福岡藩というお上の歴史と、当社を日ごろ支えていただいた庶民の歴史も伝えられていますので、より身近に感じられますね。
歴史というものは、語り継がれないと消えていくものです。古いものが残っているだけでは歴史ではありません。この期にしっかりと記録を取っていきたいと思いを新たにしました。

今回はここまでといたします。また第2弾、第3弾で歴史を感じられるものをご紹介いたします。